外国のゴミ屋敷は日本の比ではないという噂
昔から年に1度くらいこんな話が出てきたりします。
外国のゴミ屋敷ってまだ誰も見たことはないのですが、誰かが知ったような口ぶりで「海外のゴミ屋敷は日本のゴミ屋敷と比べ物にならないほど酷いらしい!」などと話だしたりして、見てもない外国の話に花を咲かせたりする場面に出くわしたりすることがあります。
良し悪しはともかく部分的に海外のものを過大評価したり、部分的に過小評価したりする雰囲気ってのはまだ普通にあるので、そんな時は「そーなんですか」と当りさわりのない曖昧な返事をすることに決めています。
もちろん画像検索やYouTubeなどでそれらしきものは見ることは出来るのです。
しかし、どこの誰もが(私も含めて)ちょっとはショッキングなメディアをだして人の目をひこうとするものなので、一部の画像をもって全体を評価するのもどうかなって思ったりします。
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さて今回の話は私としては初めてとなる外国人のゴミ屋敷のお片付けの話となります。
実際には現場は受注できず、当社が片付けたわけではありません。
しかし、ショッキングな現場と記憶に残る人間関係のお陰で、見積りだけだったにも関わらず強く印象にのこる現場となりました。
サンプル数が「1」ではあるのですが、もしかしたら外国のゴミ屋敷はこんな感じなのか!という認識を植え付けるには十分なくらいの汚れ具合ではありました。
いつもの通り設定はいくつも変えてあり、フェイクを加えての話となります。
それではどうぞ!
依頼人との出会い
群馬県には太田市と大泉町というブラジル人が多く住む地域があります。
多くが中南米から出稼ぎにきた労働者や昔ブラジルに渡った日系人の帰国者であったりします。
街中を車で走らせるとブラジル人向けの教会や食材店、ブラジル料理店などを見かけることができたりと、国際的な雰囲気を若干感じることが出来る地域となります。
そこの地域で今回の依頼人とあうことになりました。
場所は館林市のとある平屋一戸建ての住宅。
市役所からの依頼でそこにある家財を全て撤去、作業後に身内の女性が立会い室内の最終チェックをしていただくことになっていました。
作業終了の少し前にその女性は現場に到着しました。
長髪の黒髪で身なりは非常にきっちりしたキャリアウーマン風。
端的に言って美人でした。
この女性が今回の外国人ゴミ屋敷片付けの依頼人となる人でした。
女性に部屋を案内し、全ての家財が撤去したことを見せる。
問題なくOKを頂き普通ならその場で別れ、当社の作業は全て終了するはずでした。
わたしが作業用資材をトラックに詰め込み帰る準備を始めると女性から声をかけられました。
「一般の方の家も片付けてくれたりするのでしょうか?」
「もちろんですよ!喜んで!」と私。
「そこ私の外国人の友だちの家でここの近くなのです。社員寮の中なのですがちょっと汚れているんです。」女性が続けた。
おずおずとしている女性に当社がゴミ屋敷などいくらでもやっているので問題ない旨伝えるとちょっと安心した顔になった。
その場で住所とお見積りに伺う日時を調整し、女性と別れた。
現場にて
社員寮と聞いていた現場に到着すると、そこは廃業したカラオケボックスの跡地でした。
現在そこを改造して外国人用の社員寮にしているようでした。
ちょとおっかなびっくりしながら近くに行き、誰かいないか声をかけると中から幾人かの中南米出身と思われる男性が出てきてびっくり。
日本語を話せる人がいないかを日本語で尋ねると中から白人の小太りの中年男性が出てきて流暢な日本語で受け答えをしてくれた。
「中の片付けの件ね。社長が困っているから早くやるように言われている。今彼くるからちょっと待っていて」と伝えられた。
聞くと中南米出身者専用の寮とのことでした。
道理で中から出てくる人が全員外国人ということに納得がいった。
待つこと数分、一台の軽自動車が寮の駐車場に入ってきた。
先日会った女性が運転し、助手席にはTシャツ姿の肌の浅黒い男性が座っている。
すぐに女性は出てきて挨拶してくれた。
「先日はありがとうございました。彼がわたしの友達で、彼の部屋の片付けの見積りを取って欲しいのです。」
遅れて車から出てきた男性は背が高く、ラフないで立ち。
エキゾチックな顔立ちをした、まぁイケメンとでも言うのでしょうか・・・?
私たちの目の前に無表情で現れたかと思うと突然取り出したタバコに火をつけた。
「ちょっとあなた何タバコ吸ってるの! No! No! ダメって!」と男の手を取りタバコを取り上げようと女性はするが男性に振り払われる。
ちょっと見で、「友達同士」の関係ではないことは分かった。
室内は過去最悪レベルの汚さ
女性が泣きそうになりながら「あなたの為に私こうやってここにいるのよ。ちゃんとして!」と苦しそうに言うが、男性は表情をほぼ変えず、今度は私を睨みつけてきた。
そうこうしているうちに日本語が流暢な男性が来て、早く中を見てくれという。
薄暗い館内。
元カラオケボックスだったエントランスを通り、暗くて見通しが悪い廊下を歩きその部屋に案内された。
予想はしていたが、案内された部屋はカラオケボックスの一室だった。
中年白人男性曰く、強い悪臭のする液体が両隣の部屋に流れ出し、部屋2つが使えなくなってしまったとの事。
ともかく早く何とかして欲しいと伝えられ、その場を後にした。
部屋の前に立っただけで悪臭がする。
経験上・・・、 中を見なくてもわかる。
部屋の中でトイレを済ませているのだ。
マスクを二重にし、手袋をはめ「では中に入らせて頂きますね。」そう伝え、ドアノブを回した。
中に広がるのは真っ黒になった室内。
電機は切れているので懐中電灯で室内を照らしての見積りとなった。
そんなに広くない室内。
しかし手前から奥にかけてゴミが積みあがっていき、一番高く積みあがったゴミは天井近くにまで達している。
しかも異常なほどの悪臭。
オシッコが腐り強いアンモニア臭と恐らく大便の臭い、食べ物が腐った臭い、汗の臭いなどが混ざり合い、とても表現のしようがないほどに強い悪臭を放っている。
みるとそこいらに中身入りのペットボトルが大量にある。
オレンジジュースの中身が黒っぽい色のはずがない。
中に入っているのは間違いなく、尿だ。
恐らく買い物袋に入っている大便も大量にあることだろう。
ハンカチで口を隠し、心配そうな顔でこちらを見ている女性に聞いた。
「このペットボトルに入っている液体はみんなオシッコですよね?」
「これピーピーなの!?ペットボトルにピーピーしている!?」
女性が慌てて聞くと男性はふてぶてしさも混ざるような無表情のまま頷く。
「大便もあるか聞いてください。見積りにどうしても必要な情報になります。」
これにも男性は無表情のまま頷いた。
「はぁぁぁ・・・・」うなだれる女性。
全てのゴミが真っ黒に変色し、全てが湿っている。
尿や便の湿気でやられているのでしょう。
一通り室内を確認し、部屋を出た。
部屋の外では真っ青になった女性が涙声で「あなたどうしてこんなになるまで放っておいたの?」と声を震わせている。
男性は日本語が理解出来るのか正直分からなかった。
彼はその日最後まで無言で通し、コミュニケーションは頷くか首を振るだけだった。
金額を伝える
部屋から屋外へ出る際、ゴミをどうやって搬出するか導線を確認しながらでた。
館内は男性ばかり。
基本どこもが汚れており、薄暗いのもあるが全体的に黒い。
それにしても先ほどの男性の部屋は断トツで汚れていた。
壁を突き抜けて液体が両隣の部屋にいくなぞ、どれ程の尿が漏れ出しているのか想像がつかなかった。
屋外にでて女性に部屋の中の惨状を伝えると、それまでも目に涙は浮かんでいたが耐えきれなくなったのでしょう。
一気に涙がこぼれ始めた。
むせび泣きながら「どれくらい料金かかってしまうものなんでしょうか・・・・?」と尋ねてきた。
当たり前だが、あの光景をみたらどれ程の料金が発生するか一番気になるところでしょう。
「最低限これくらいはかかります。」とスマホの電卓機能を使い料金を説明した。
「そんなにしてしまうのですか・・・!」
女性は大きく空をあおぎ、声をあげて泣き始めた。
こちらもビジネスでやっている以上、どうすることも出来ない。
「可哀そう」とか「申し訳ない」とも思いながらも、出来る最低限の金額を伝えたつもりでした。
見ると女性は綺麗な身なりをしているが、彼女所有と思われる軽自動車はところどころに傷や凹みがあったりで修理した様子もない。
車の傷からは茶色い錆びが出ており長期間修理に出していないことは分かった。
もしかしたら結構厳しい暮らしをしているのかもしれないと感じた。
泣き続ける彼女にかける言葉も見つからない。
彼女は泣きじゃくっていた。
「これが・・・、 これが・・・最後の最後の私からあなたへのプレゼントだからね!」
「もうこれ以上お金だせないからね・・! わたしもうお金ないのよ! わかる!?」
「部屋が片付いたら私の家から出て行ってね!あなたは自分の部屋に戻るの!」
無表情の男性は聞いているのか、理解しているのかも不明だった。
ここまできてようやく状況が呑み込めてきた。
背景と泣きじゃくる女性
女性と男性は交際しており、男性が部屋がゴミで溢れかえり自室に住むことが出来なくなってから女性の家に転がり込んだのだ。
そして男性は会社からも解雇されており、女性の稼ぎで女性の部屋に居候していたのだ。
いつのころからか彼に対する愛情はなくなり、残ったのは彼女の家に居座る男性。
だが、彼は外国人で仕事もなく、収入もなく、帰るべき家はゴミ屋敷。
彼女は男性に家から出て行ってもらうので必死だったのだ。
そのために彼女が払う責任も必要もないお金を使おうとしている。
男性は無表情のまま目を赤くはらしながら泣いている女性のお尻を触り始めた。
無表情の男性からは全く責任感というものを感じられない。
女性が嫌がり男性の手を振りほどこうとするが、執拗にお尻を触り続ける。
私以外にも当社のスタッフは居た。
目の前での男性のとる態度にイライラが募った。
ビジネスライクに考えれば、わたしの取る行動は褒められたものではないのかもしれない。
しかし、「ちょっと話があります。こちらにお願い出来ますか?」と、女性を少し離れた場所に呼んだ。
滅多にしないが、ちょっと説教じみたことを言ってしまった
男性との距離が10メートルを離れたくらいの距離で私が矢継ぎ早に言った。
「すみませんけど、これあなたがゴミ屋敷にしたわけではないですよね。」
「あなたがゴミの処分費支払う義理はないですよ! あなたはお金を払ってはいけない。」
「全部彼が責任取るべきです。」
女性は泣きながらうなずいた。
状況からして女性があまりにも可哀そうだった。
しかし、女性の口からでるのは「でも、でも、だって」だった。
「でも私が払わないと彼お金ないし。」
「だって彼を追い出したら住むところないし。」
数分話して彼女との話を打ち切った。
その後
見積りの送付先アドレスを伺い、私はその場を後にした。
見積りを送付しても女性からの連絡はなかった。
見積り後、一か月以内で片付けて欲しいとの話だったが、一か月たっても女性からの連絡はなかった。
別の業者に仕事が依頼されたか、経済的な事情で女性と男性でなんとか部屋を片付けたのか、それとも無事ヒモ暮らしをしていた男性を追い出すことに成功したのか・・・・たまに思い出します。
正直な話、仕事が決まらなくても「いいや」と思っていた。
今でもその現場を思い返しながら思うのは、仮に作業を行っていたら数多くこなしてきた現場の中でも一番汚れている部屋ナンバーワンになっていたかも知れないということ。
それを思うと、わたしが出した見積りはちょっと安かったかもしれないと今でも思っている。
大量の尿入りペットボトル、袋に入った大量の便、大量の腐った食品、別室まで漏れ出すほどの大量のあふれ出た尿があった現場を思うと、ちょっとほっとする自分がいたりする。
と、同時に思うのは仮に彼等自身で片付けようとしたら、たぶんあの男性は決して自室の部屋を片付けようとしなかったであろうこと。
恐らく彼女ひとりで全ての作業をやったのかもしれない・・・そういう思いがよぎると、申し訳ないことをしたとも思ってしまう。
今でも思う。
「あんな男さっさと捨ててしまえばよかったのに・・・」と、、、、、。
おわり
会社案内(パンフレット)
こちらは当社の会社案内をPDFにしたものになります。
宜しければ印刷して皆さんでご覧になったり、データをダウンロードしてお知り合いに送付したりしてください。
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